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2015.12.27

アクティブ・ラーニングにシフトしない要因を踏まえての展望

 11月に、Facebook『反転授業の研究』グループ主催のオンライン勉強会に、岩手県立大野高等学校校長の下町壽男先生が登壇され、お話を伺いました。
 その中の、ほんの短い説明に、私ははっとさせられました。

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授業における旧パラダイムを良しと考える人達

 学校の教員は、自分で自分を磨くために、身銭を切ることをしない=自己研鑚がなく、世界や世の中の変化に対応するような教育ができない。

 学校という閉じた世界で、受験のための知識を、上から目線で、データ化して、量をこなしてやっていく…そいうこと(そこから生まれた進学等の実績)に価値を見出している
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 パラダイムとは「ある時代のものの見方・考え方を支配する認識の枠組み」とあります。
まさに「(授業、及び学校の目的が)進学等の実績に価値を見出す枠組み」にガッチリと心奪われている状態が、日本の学校教育における旧パラダイムだと思われます。

 何故、旧パラダイムの授業・学校から抜け出せないのか?
 2つの強力な支持層があるからだと思われます。

(1)入学生の保護者、及び(進学希望の)児童・生徒たち
 学校選びに、その学校の進学率&進学先、または就職率&就職先を重視する人は、過半数を超えていると予想されます。

(2)学校側や教員側が「やるべきことをやりました」と示しやすい。
 旧パラダイムの授業をしていれば、「~~を教えました」「~~に時間をかけました」と、証拠を示しやすいですよね。
 すると、本来伸ばしたい資質が仮に伸びていなくても、責任を問われにくい構造になっていると思われます。

 それにプラスして、実際「量をこなしてやっていく」ことは、着実な成果に繋がりやすい道筋として確立しているのです。
 結局、試行錯誤を繰り返し、失敗から学んで、多くの経験からイメージ作りに成功し、必要な理解にたどり着く、という道筋を、教員や保護者は好んで選ばせ、児童・生徒も、より多くこなすことが大切だ、と思っているはずです。

 すると、例えば長期の休みは宿題だらけ、とかなっている学校さんは多くあるはず。
 ゆとりがない生徒達は、答えを書き写して「叱られなければ御の字」という取り組みのスタイルに陥ります。すると、叱られないことを優先して、問題を解くためのプロセスは、児童・生徒にとっては大事ではなくなります。答えがなければ取り組めない児童・生徒の誕生です。
 これが、企業にとって好ましくない結果、のはずです。(なぜ企業か、は後ほど)

 一方で、「量をこなさせる」ことが大事だと思うと、教員側も、より効率よく量をこなさせる方向で考えます。
 ですが、取り組ませた課題をチェックし、一人ひとりに適切なフィードバックを返さないと、効果は上がりません
 よって、真っ当な教育をしようと考える真面目な教員ほど、労働過剰に苦しむことになります。
 (深刻なのは、教員側が上手に手を抜く&児童・生徒側は答えを書き写すだけ⇒結局、課題はクリア&児童・生徒は何も学べていない、けど進級する、というパターンを生み出していることでしょう)

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 まとめると
 「(授業、及び学校の目的が)進学等の実績に価値を見出す枠組み」となっていて、
 その手段が「量をこなしてやっていく」ことになっていて、
 自らの首を縛るように「教員の労働過剰」を生み出し
 それを避けるために、一部、評価等に手を抜く教員の存在が、プロセスの理解に手を抜く《雑な学び》をする児童・生徒を生み出し
 企業側が「そんな人材は必要ない」と教育側を批判するも、
 教員側は「企業側の論理で教育しているのではない&結局は進学等の実績が…」

旧パラダイムの教育を続ける方向にシフトしている現状が続くのだと思います。

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 この現状を踏まえなければ、「アクティブ・ラーニング」は普及しないと思っています。

 つまり
 「進学も大事だという考えは否定しない」
 「一定量の学びは必要」
 「労働過剰は問題」
 であっても、【授業における学びのプロセスは変革したほうが望ましい】

という観点で、児童・生徒に、プロセスの理解(「そうなるのは、なぜ?」と考える)に目が向くような授業設計をしましょう、というアプローチが、「アクティブ・ラーニング」の普及に必要なのだと思います。

 ワンウェイの授業では、ただ自分の座席で黒板を書き写し、授業のじゃまにならないように静かに先生の話を聞いているだけで、プロセスの理解をせずにやり過ごす児童・制度を生み出しがち、ということでしょう。旧パラダイムに縛られがちなら、尚更なのです。

 一方で「なぜ?」を大切にする授業づくりを続けてきた先生方も多いはずです。そういった先生方にとっては「なぜ今更『アクティブ・ラーニング』なのか?」と思うはずです。
 そういう先生の取り組みは今後も継続して頂ければ良いと思うのですが、「(1)旧パラダイムに縛られている先生方も、それ以上に多い」、「(2)「なぜ?」を大切にする授業を行う先生が一定数いたとしても、その先生が受け持たないどこかの学年において旧パラダイムで学び、旧パラダイムに染まった状態の卒業生の方が、総人数としては多い」ということだと思われます。

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 ですから、「アクティブ・ラーニング」の取り組みの今後を考えたときには、先生方の考え方を尊重しつつ、授業形態のマイナーチェンジを提案し続け、出来るだけ普及が進むことが大事なはずです。

 そして普及のためにはどうしても「考え方を変えたら成果が出ました」ではなく、「成果が出たので、考え方を改めました」】が必要、つまり、実際にやってもらって、成果を実感してもらって、合理的に「アクティブ・ラーニング」へとシフトしてもらう必要があると思っております。

 教員側にも「アクティブ・ラーニング」を実践しての【成功体験】を積んでもらう場が、各地にできれば、と思います。

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追伸:
 その具体策が大事なのですが、個人で出来ることは限られているので、
 無理のない範囲のことをしますcoldsweats01

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