« (教員免許更新)生徒指導4:不登校とその支援 | トップページ | (教員免許更新)生徒指導6:生徒指導と学校・学級づくり »

2015.08.19

(教員免許更新)生徒指導5:いじめへの対応

『現代の生徒指導』
第5章 いじめへの対応

伊藤 亜矢子(奈良女子大学)
-----

《本章のねらい》
「 いじめ防止対策推進法も制定され,いじめの予防や指導は今日の児童・生徒指導に欠かせない。いじめ対策には,当事者個人だけでなく,学校・学級環境全体の取り組みや改善が必要になる。」

1.いじめを理解する

「いじめは「当事者に原因がある」という見方も根強いが,実際は,学級のあり方もいじめ発生には大きく影響しており,人権や他者尊重の観点からも,学級にいじめを防止する良好な風土を醸成することが重要である。」

(1)いじめとは

『「いじめ」とは,「当該児童生徒が,一定の人間関係のある者から,心理的,物理的な攻撃を受けたことにより,精神的な苦痛を感じているもの。」とする』(平成18年改訂)

『個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は,表面的・形式的に行うことなく,いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする』(文部科学省,n.d.)。

繰り返し,長期にわたり一人または複数の人によって拒否的行動にさらされる場合
&『それによって,相手から自分を守ることが難しくなる』状態(Olweus et al,2013)

(2)いじめ被害の深刻さといじめの構造

・いじめの四層構造(森田洋司,1994)
 -被害者-加害者-観衆-傍観者-

「 いじめの被害が深刻な原因の一つは,被害が繰り返される点や,他の生徒達からも傍観によって被害を見逃されることや低い評価が懸念されるなどから,抑うつや絶望感,自己評価の低下につながるである。人格形成期にそのような悪影響は大きい。よくあることと見過ごされる小さな悪意の蓄積がトラウマを生むことも不思議ではない。学校での指導の前提に,いじめは大人が考えるより深刻な悪影響を及ぼすことを理解したい。」

2.いじめの予防
(1)いじめ予防対策推進法

学校設置者と学校の基本対策
(1)道徳教育等の充実
(2)早期発見のための措置
(3)相談体制の整備
(4)インターネットを介したいじめへの対策推進
国及び地方公共団体の基本的施策
(5)いじめの防止等の対策に従事する人材確保等
(6)調査研究の推進
(7)啓発活動について定めること,

「学校では,いじめ対策に,複数の教職員,心理,福祉等の専門家その他による組織設置が定められた。」

(2)いじめアンケートと予防プログラム

「 多くの自治体や学校で実施される「いじめアンケート」では,問いの設定や表現によって,得られる情報が異なり,その効果も活用法によって異なってくる。」

・海外では,いじめ予防に多様な予防教育が行われる(山崎・戸田・渡辺,2013 など)

「 また,同プログラム(=オルヴェウスのいじめ防止プログラム)では,安全な学校環境を形成しいじめを防止する責務は第一に大人にあると強調する。
(1)大人の人間的な温かさや前向きな関心,関わり
(2)許容できない行為の明確な線引き(=「ダメなものはダメ」)
(3)ルールが破られた時には,非身体的で敵意のない否定的な結果が一貫して用いられること(=ブレない
(4)(権威主義でなく)権威あり前向きな役割を果たす大人の存在が不可欠であると述べている。」

3.いじめへの対応
(1)いじめ対応のポイント

|河村(2007)のQ-U学級満足度尺度を用いた研究でも、
|いじめの発生確率が学級のタイプで異なる。

・いじめ防止対策推進法では学校が講ずべき措置などを指摘している。

(2)保護者対応のポイント

「 いじめに直面すると,保護者は大きく動揺することが多い。学校や教師を過度に責めと見える場合も,多くは動揺と事態改善への焦りであるが,学校側も身構えるので,家庭と学校が対立しやすい。しかし解決には協働が不可欠である。落ち着いて保護者からの情報に感謝し,計画や記録を共有して,継続的に連携する必要がある(Roberts,2015)。」

4.SC(スクールカウンセラー)との協働や組織的対応
(1)校内で,チームで対応することの大切さ

・SC(スクールカウンセラー)はコミュニティアプローチ(地域援助)に基づき,いじめ予防を含む学校全体のメンタルヘルス向上をめざす。

互いを尊重する学校風土の醸成

(2)地域資源との連携

児童館、民生委員、児童相談所、警察など、地域支援を有効に活用する積極的
なチーム支援
が,児童・生徒指導には欠かせない。

記事がディベートの普及に繋がるように
人気ブログランキング』に参加しています。

人気ブログランキングへ
↑是非クリックを↑
今回の記事が良かったなら
にほんブログ村 教育ブログ 中高一貫教育へ
↑バナーをクリックして下さいm(_ _)m

追伸・私見

確かに、本講義で解説されたいじめ対策は、オーソドックスなものだと思います。
そして本来大切なのは、いじめを起こさせない「予防」にあるとは思います。

多くの皆さんは「いじめを無くしたい(「予防」したい)」と思われる一方で、「いじめはどこにでもある」と考えますよね。
|“自殺に至るようないじめ”は無くせる、かもしれませんが、
|軽微ないじめは、掘り起こせばどこにでもあるもの、でしょう。

この「無くしたいけど、どこにでもある」いじめは、予防できないのか?

私の経験上、どこにでもあるのは、「いじめ」の前段階の、些細な行動です。
些細ですが、無視してはいけません!
(本文にも「いじめを防止する責務は第一に大人にある」と書かれています
それは、異質な他者と共存しているときに生じる行動で、「あいつちょっと変だ!」という感覚に由来する、いじめとは呼べない“いざこざ”なのです。

|教室内で発達段階の異なる児童・生徒が共存していると、
よく目にするのです。

これを《いじめの種》と呼びたい!

《いじめの種》の本質を私は、【異質な他者に対する違和感とアレルギー】だと考えています。
子どもたちがそれを踏まえてとる、有りがちな行動が3つ
〔a〕避ける(こちらの嫌悪感が分かるような無視、など)
〔b〕攻撃する(イタズラ、悪口、暴力など)
〔c〕上下関係を定める都合のいい基準を持ちだして、見下す。汚い、アホ、パシリ、など)

エスカレートすれば、<立派ないじめ>です!

異質であっても、問題なく共存できれば、いじめには至りません
|クラス内でグループに分かれても互いに干渉しなければいいのです。
理性が育って、いい意味で割り切った関係をコントロールできれば
問題にはなりません双方が“大人の対応”をするわけです。

-----
 ですが実は、異質な他者と共存できず、排他的になろうとする素質を持っているのは、大人でも一緒です。
 差別、しますよね。(世界的に…)
 ですから、大人がまき、子どもが咲かせる《いじめの種》

 その悪循環を断ち切るのは、【種が芽を出す前の対応】のはずです。
 つまり「いじめが起こる前の、「あいつちょっと変だ!」に由来する、大事(おおごと)ではない行動のうちに、教員側が“察知した対応”をすることが重要だと思っております。

|具体的には、教員側が誰に対しても「避ける・攻撃する・見下す」をせず
ちょっと変わった生徒に対しても「こんなふうに公平に接するのか!」という
姿勢を見せることが、想定以上にプラスの効果を生むと思うのですが、
|もう一つ、生徒の「○○君の~~~が嫌だった」という、まだいじめになる
前の訴えに誠実に対応することです。
|…訴えてもらえる存在、信頼して相談してもらえる存在であることも
| 大切かと。

|

« (教員免許更新)生徒指導4:不登校とその支援 | トップページ | (教員免許更新)生徒指導6:生徒指導と学校・学級づくり »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/77422/62111098

この記事へのトラックバック一覧です: (教員免許更新)生徒指導5:いじめへの対応:

« (教員免許更新)生徒指導4:不登校とその支援 | トップページ | (教員免許更新)生徒指導6:生徒指導と学校・学級づくり »