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2015.08.18

(教員免許更新)生徒指導4:不登校とその支援

『現代の生徒指導』
第4章 不登校とその支援

伊藤 美奈子(奈良女子大学)
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1.不登校の多様性

|《変遷
|「学校恐怖症」:心の病という位置づけ
|→「登校拒否」:数の増加とともに教育問題に。学校の管理体制批判
|→「不登校」:量的増加・質的多様化。「どの子にも起こりうる」

「ここ20 年ほどの間に,不登校の中身そのもの(質)は,複雑化する社会問題・教育問題を映し出すように,どんどん多様化する一途にある。」

(1)いじめと不登校(←この項全文引用)

「 不登校のきっかけとして多く挙げられるのが,いじめを含む友だち関係である。小・中学校の現場ではさまざまな形でいじめが存在し,子どもの心に傷跡を残している。それらのなかで最も緊急の支援を要するのが「いじめ被害者」である。殴る・蹴るなどの身体的ないじめは年齢が上がるとともに減少するが,それに替わって深刻化するのが,誹謗中傷や仲間外しに代表される心理的いじめであろう。一方的にいじめに遭うことにより,自分の居場所であるべき教室が地獄と化してしまう。ネットの普及とともに急速に広がったネット上でのいじめは,その匿名性,かつ不特定多数という性質により被害者が受けるダメージは大きくかつ深い。しかし「いじめ加害者」も決して“勝者”ではない。ほんの些細な一言をきっかけに一気に形勢が変わり,クラス全員から無視されることになるという逆転劇も起こりうる。いじめる側に回ってしまう子どもたちの中には,その子自身の自尊感情の低さや歪んだコンプレックスが潜んでいるような事態も少なくない。」

(2)発達障がいが背景にある不登校

「 近年,発達障がいとみられる子どもたちに出会う機会が増えてきた。障がいによる特性ゆえに,<友だち関係がうまくいかない><コミュニケーションが苦手><学習のつまずき>という生きづらさを抱えるだけでなく,それら障がいへの理解や支援が十分になされないがゆえに学校不適応になるケースもある。」

・自分の気持ちをうまく表現できないために,SOSの発信が出せない
・SOSの発信を出していても受け取られにくい
周りの理解が十分ではないことによる弊害

「障がいそのものが不登校に直結するのではなく,障がいゆえの二次被害による不登校が問題」

(3)怠学・無気力と不登校

「学校現場にかかわっていると「怠学傾向の不登校」や「無気力型不登校」と言われるタイプに出会うことは多い。」

「怠学の背景にある“根源”に迫っていくと,厳しい親子関係や部活動でのトラブルなど,無気力を引き起こしている“真の理由”が見えてくることがある。」

⇒無気力の背景にある問題を見つけ解決していくような支援が必要

(4)不登校の背景にある家庭・社会の問題

「 これら以外にも,実際の臨床ケースからうかがえる最近の特徴としてあげられるのが「社会問題」という波をかぶった不登校の多さである。その一つが,家庭に根っ子がある不登校である。」

保護者の虐待(とくにネグレクト(養育放棄))
保護者の精神的な病理(鬱病や精神障がい
・子どもの自立を阻害するような過保護・過干渉
・(子どものキャパシティーを越えるような)過剰期待
経済格差
非正規雇用の問題やワーキング・プア、親のリストラなど)
(→「子どもが安心して学校に通えない」状況

教育と福祉の連携がますます急務!

・不登校と「思春期
→社会化と個人化という二項対立的課題
クラスという集団への同一化 VS 自分探し

・不登校と中1ギャップ
→その背景にある<小学校から中学校への移行>
 (人間関係・担任制・学習内容の変化、受験等のプレッシャー、等

2.不登校の変遷と不登校に対する基本的な考え方
(1)関係を構築しつつ適切に関わることの大切さ

|文部科学省「不登校へのあり方について」

「待つこと」ことが必要なケースもあるが
「待ってはいけない」ケースも(いじめや虐待
・「待つ」のみではなく,専門的なアセスメントが求められるケース

・<多面的理解>(一人の子どもを複数の教職員で見る)
・<多面的関わり>(多様なメンバー(担任だけでなく,養護教諭や生徒指導担当,カウンセラーなど)が分担)

担任教師一人が抱え込むのではなく,チームで互いに支え合いながらの連携・協働

・校内での情報共有の方法→不登校児童生徒についての個別の指導記録の作成

「心の問題」重視から「進路の問題(生き方支援)」へと広がり
 (多様な支援は必要←教育的、心理的、医療的、福祉的、司法矯正的支援)

(2)不登校対応に必要な連携ネットワーク

「 根深いいじめや虐待,発達障がいなど,校内だけでは十分に対応できないケースについては,教育センターや教育支援センター(適応指導教室),児童相談所や警察(少年課)などの公的相談機関,民間施設やNPO 等とも積極的に連携し,相互に協力・補完しつつ対応にあたることが重要である。」

「 こうして,本人に必要な専門機関が見つかった場合,本人の了解だけでなく,保護者の理解と協力が必要になる。そのために不可欠とされるのが,インフォームド・コンセントと言われる丁寧な説明である。」

不登校の子どもを抱える保護者の心理(不安、焦り、自責、怒り、不満)を
把握し、保護者を支えることも必要

不登校児童生徒のみならず,すべての児童生徒にとって学校が居心地のいい場所、魅力のある学校となるような努力を続けることが,今,学校現場に課された大きなテーマ

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追伸・感想

 以前は、毎年1~2人の不登校、或いは不登校気味の生徒を抱えていました。
 様々な経験がありましたが、多くは、教員ひとりのできる事はごく限られていて、無力に等しい、という印象と、クラスメイトや同僚の協力などによって思いがけない事態の好転が得られる、という体験でした。

 いじめによる不登校は、加害者の指導が先、という印象がありますが、いじめが不登校に至る前に対処を、と思います。

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