« (教員免許更新)生徒指導1:生徒指導と学級集団 | トップページ | (教員免許更新)生徒指導3:思春期の人間関係 »

2015.08.16

(教員免許更新)生徒指導2:子どもの問題行動と教師集団の対応

『現代の生徒指導』
第2章 子どもの問題行動と教師集団の対応

住田 正樹(放送大学客員教授)
-----

(※重要につき、引用部分が長いのですが、ご容赦をm(_ _)m)

1.子どもの問題行動
(1)子ども期から大人期への過渡期
(←この項全文引用)

「 小学校中学年から中学生・高校生にかけては子ども期から大人期への過渡期(移行期)にあって,子ども社会と大人社会の両方に所属し,あるいは両方の時期の中間(境界)に位置しているところから「マージナル・マン」(境界人)と言われている。マージナル・マンとは文化が異なる複数の集団に同時に所属しているために,いずれの集団にも完全に所属することができず,複数の集団の境界上に位置する人間を意味する。そのために統一的な価値規範や行動基準を持つことができず,つねに内面的葛藤や緊張状態にあって情緒不安定になりやすい。子どもと大人の中間(境界)に位置する,この時期はまさにマージナル・マンであり,情緒不安定とそれ故の過敏な反応を特徴とする。加えてこの時期は第二次性徴が出現する時期であるが,近年の生活水準や栄養状態の向上によって身体的には早熟となり,その一方で親の過保護や過干渉,教育期間の延長などによって自我の確立といった精神的成熟は遅くなり,また自立した社会人としての役割と責任を担うといった社会的成熟はさらに遅くなっている。身体的成熟,精神的成熟,社会的成熟のアンバランスが平衡を失った行動を誘発し,暴力的,破壊的,誇示的な極端な問題行動に駆り立てるのである。」

|まずは児童・生徒の理解が大事(小学校中学年から高校の時期)
|児童・生徒は、子ども期→大人期の過渡期(移行期)
|そのため、子ども社会と大人社会の両方、或いは中間に位置
|加えて第二次性徴が出現し、身体的,精神的,社会的成熟の時期に
|自分の意志とは関係なく生じる変化が、不安や、好ましくない行動に
|それが更に、個人差があって集団的にもアンバランスな状況
|→大人としての判断力を持ち、ひとり立ちして行動できるまで続く

(2)子どもの問題行動と生徒指導

・ 問題行動は「反社会的問題行動(社会に対して反抗的)」と「非社会的問題行動(逃避的行動、神経病的行動、引っ込み思案行動)」とに大別

「 生徒指導は問題行動の対策や防止・治療といった「消極的生徒指導」だけではない。全ての子どもの人格的発達を促すという「積極的生徒指導」もある(規範的文化の形成)」

|まずは(生じた問題に対する)消極的生徒指導を考えることになるが、
消極的生徒指導で子どもの問題行動の原因や対策を考えることは、
積極的生徒指導の有効な方策のヒントになるケースも
|(一般的な子どもに現れない潜在的な問題に繋がる場合も

子どもの問題行動には今日の一般の子どもが置かれている社会状況の問題が集約的に現れているといってよい。

2.子どもの問題行動と教師集団の対応
(1)少年非行と疎外感

|「非行」の定義→少年法三条より、犯罪、触法、虞犯

「 少年非行の原因についての有力な考え方に疎外論がある。」

疎外「社会の支配的な価値・規範から疎遠にならざるを得ないような状況」
| →自分を否定的に評価
| →自分に対して否定的な意味しか与えることができない

|被受容感:自分はみんなに受け入れられているのだという意識や感情
|被拒絶感:自分は無視されている、軽蔑されているという意識や感情
|→学校において、被受容感を感じられない=【疎外

|《学校において
学校での評価基準は学業成績が中心(支配的な価値・規範)になりがち
|→学業不振の子はあまり評価されない・軽く扱われる
|→教師もほかの子も、肯定的には評価してくれない。誰も認めてくれない
|⇒【疎外】(←非拒絶感を感じる(無視・軽蔑)

|《社会において
学業成績重視の考え方は、社会一般に支配的・規範的な価値として
広がっているので、学業不振が将来の可能性を期待できず、希望を持てず、
|将来が閉ざされたような感じを生む→失望・不安・疎外的な状況
|⇒一時的であっても、阻害的な状況からの即刻な開放を求めて、また学校や
|社会に対して、反抗的・攻撃的になる。
|⇒反抗的・攻撃的な行動の中に現在の【自分という存在を確認】し、
| そのような【現在の自分を確認してくれる】同じような仲間を求める

|《家庭において
親子の愛情という感情的な関わり合い=情緒的に安定した世界
|→親の態度や、夫婦関係という情緒的な関係が、子どもの安定に大きな影響
|→しかし親が子どもへの愛情を持たない、無関心、子どもを放任すると
| 子どもが親の愛情を感じない=情緒的な安定化の世界を体験できない
|→「親から愛されていない」「自己嫌悪」【疎外感
|(親が愛情を持っていても伝わらない場合(伝達不足)も同様
|(突き詰めると親の労働条件や経済的条件のために子どもを構う余裕が無い
|→被受容感を感じることなく【疎外感】→暴力的、破壊的、誇示的な問題行動

(2)子どもに対する教師の共感的理解(←この項全文引用)

|キーワードは【許容的な態度】と【共感的理解】

「 子ども自身に自分の問題行動を認識させ,子どもが自身で解決していけるように指導・援助していくのが生徒指導である。そのために教師は許容的な態度で子どもに接し,子どもの立場に立って子どもの考え方,感じ方,気持ちといった内面を理解しなければならない。「共感的理解」である。端的に感情移入による理解である。但しそれは感情次元での理解であり,共感であって,行動次元,つまり子どもの問題行動を許容したり容認・肯定することではない。教師は問題行動に至った子どもの感情を理解し,その感情に共感するのである。感情の共有である。その上で子どもの将来の可能性を共通の目標にして子どもと共に現実的な対応を考えていくことが教師の共感的理解による指導である。」

|児童・生徒に【関心を持つ】(まさに心を関わらせる)ことが出来るか?

(3)教師集団の統一的対応

|第1回で解説したP機能とM機能と合わせて、個々の子どもへ
|教師全員が共通理解をして、同一歩調をとって教師集団として統一的に対応

「子どもの行動が行動基準に沿った規範的な,望ましいもの(同調)であれば是認し,行動基準から逸れた望ましくないもの(逸脱)であれば否定する。このようにある行動を励まし,ある行動を思いとどまらせる手段を「サンクション」(sanction)という。サンクションには同調的行動を奨励する積極的サンクション(賞賛・報酬)と逸脱的行動を抑制する消極的サンクション(罰則・処罰)がある。学校場面では「褒めることと叱ること」である。褒めることによって望ましい行動を強化し,叱ることによって望ましくない行動を消去しようとする。」

統一型の教師集団の学校ほど生徒指導体制は確立しており,また(指導の効果として)校内暴力はない(51.4%)として,教師集団としての統一的対応の有効性が示されている。」(住田 正樹,2014)

記事がディベートの普及に繋がるように
人気ブログランキング』に参加しています。

人気ブログランキングへ
↑是非クリックを↑
今回の記事が良かったなら
にほんブログ村 教育ブログ 中高一貫教育へ
↑バナーをクリックして下さいm(_ _)m

追伸・感想

 渾身の講義だと思いました!
 まずは、児童・生徒の問題行動の「表面上認められない」ことを解決するために、生徒理解、更には生徒のおかれている背景の理解、が大切なはずです。
 教員になって一度は深く考えたこれらことを、改めて学ぶことになりました!

 ただ、現在になって、この講義で扱っていない現状の問題があるはずです。
 それは、学業成績の良い児童・生徒の抱える心の闇の問題です!

 この問題に関連して、家庭や社会の実情について触れていましたが、更に深い分析があればなお良かったのではないかと思っております(^^)

 

|

« (教員免許更新)生徒指導1:生徒指導と学級集団 | トップページ | (教員免許更新)生徒指導3:思春期の人間関係 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/77422/62093298

この記事へのトラックバック一覧です: (教員免許更新)生徒指導2:子どもの問題行動と教師集団の対応:

« (教員免許更新)生徒指導1:生徒指導と学級集団 | トップページ | (教員免許更新)生徒指導3:思春期の人間関係 »