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2015.07.31

(教員免許更新)III-8:教育政策の動向と教育行政の課題

『教育の最新事情』
第III部 教育政策の動向と学校改革
第8章  教育政策の動向と教育行政の課題

小川 正人(放送大学教授)
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1.今次の教育改革の位相―「教育の構造改革」
 1)「教育の構造改革」の背景と特徴

・世界の主要国が(自由化&規制緩和を含む)「小さな政府」への方向性を打ち出した。
 その流れは教育に「教育の構造改革」という変化をもたらした。

Keith A. Nitta(2008)によると、変化は3つ。
(1)(学校)教育の失敗は国家の経済競争力を脅かすという信念が広範囲に共有
(2) New Public management(成功した民間部門の経営手法を公的行政部門に導入し行政の経済性,効率性,有効性を図っていく考え方)が社会的に広範囲に受容
(3)教職員組合を始めとする教育利益集団が弱体化したことで教育政治がより混沌とし流動的な政治状況が生まれたこと

⇒「今次の改革は教育内容の見直しと共に教育活動とその成果を誰がどのように適切に管理していくのかという教育の統治(ガバナンス)のあり方を見直すために,権限の再配分を含みながら教育課程から学校制度・組織運営,国と地方の教育行政システム(教育のあり方)を一体的な改革の課題としているという特徴をもつ(小川2010)。」

↓一体的に改革↓
[1]知識蓄積ではなく具体的に何が出来るかという学力観(outcome)への転換
[2]学力観の転換に適合した出口管理型の教育行政システムと教育行政手法への転換
[3]学力観の転換に適合した学校組織・システムや入試-選抜の見直し等の学制改革

 2)教育基本法改正と教育振興基本計画の策定

〔第2期基本計画の特徴〕
(1)第1期と比べて総論の記述が厚くなっており,特に,日本社会が直面する危機的状況に対する危機感の共有と課題解決に果たす教育の役割の一層の重要性を指摘
(2)第1期がどちらかと言えば総花的で各施策が並列的に記載されていたのに比べ,第2 期基本計画は,4つの基本的方向性(1.社会を生き抜く力の養成,2.未来への飛躍を実現する人材の養成,3.学びのセーフティネット構築,4.絆づくりと活力あるコミュニティの形成)の下に,施策の優先順位にメリハリをつけて記載し,8つの成果目標と30の基本施策という形式で提示
(3)重点施策は2つ
 1.「確かな学力」の定着と質保証
 2.新たな価値を創造する人材・グローバル人材の育成
→小中学校と高校,大学の連携・接続と継続的検証改善システム確立等

「教育立国」を実現に向けて!

2. 21 世紀型学力の育成を図る学校制度改革
 ─接続の要としての高校教育改革と大学入試の改革─

「背景には,経済・社会等のグローバル化や高度知識社会化による産業・就労構造等の大きな変化の下で,社会は流動的で不透明性が高まる一方,先進国では高付加価値を生み出す非定型的な分析・相互作業業務が増大して他者と係わりながら情報を的確に入手・分析・統合し新しいアイデアを生み出す資質・能力が一人ひとりに求められているという事情がある(清家2013)」

|イノベーティブ、ということですね…

|21世紀になるなる仕事(業種)があるだろうという見込みがベース
|逆に、21世紀で働くために必要なスキルがあるだろうという予測がある。

・小中学校段階では着実に取り組まれている(世界からの評価も高い)が、高校以降(大学を含め、2流、3流扱い)に継続されていない。

「近年の少子化による大学入学者の減少等による大学側の定員未充足や生徒確保方策等で非学力試験を含めた入試・選抜の多様化の進展に伴う大学進学・入試の変容が,高校生の学習意欲を低減させ高校教育の質低下,「学力の底抜け」の状況を生みだしているとも指摘されている。そして,その延長線上に,大学教育においては,高校段階のリメディアル教育に多くの時間を割く必要が生じ、大学本来の教育に支障が出ているという声も大きくなっている。」

・高校教育の質保証の仕組みとして「高校学習到達度テスト」
・大学版21世紀型学力(学士力)の育成

「これからの日本と世界は,予測困難な時代であり,答えの無い問題(オープンエンド)に対して自ら解を見出していく主体的な学修の必要があることを力説したうえで,従来の日本の大学教育には課題が多いと指摘し,従来の知識を頭に詰め込みその知識を再生するだけの偏った学修・学力や主体的思考力を伴わない協調性等は社会・世界に通用しないと批判する。そのため,今後は,双方向型の教育と学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要とされている。」

3.「出口」管理型教育行政の問題と課題

〔自治体教育行政に期待される役割〕
(1)首長(部局)との連携・協力で地域づくりを進める学校経営、戦略の樹立・計画
(2)各学校の教育目標づくりや教育活動に対する情報提供や専門的支援等(各種情報,全国・他自治体の学校改善等に関する情報・データ・実践事例等の集積・分析・提供等)
(3)各学校の改善を促す人的・物的・専門的な支援施策,教育困難校への改善支援等の支援的役割
(4)各学校の改善を促す評価,指導,管理等

|(上記、引用はしましたが、個人的感想)
教育行政職として、必要なデスクワークを、どうぞ頑張って頂きたい
|(過度に項目の多いアンケートという形で)仕事を現場に降ろさずに…

⇒出口管理型行政の成否の鍵は
 地方の裁量拡大と教育環境整備にある

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追伸・私見

大学入試が問題の要(大学側にも高校側にも)になっているようですが、
更に根本は「少子化による全入→学ばなくても進学できる」状況にあります。

さて、(入学者選抜を含めた)大学制度は、どう改革され
 それを踏まえて、高校がどう対応するか?
ですね。
|更に高校や大学の出口となる就職先企業が、どう考えているのか…

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