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2014年4月20日 - 2014年4月26日の1件の記事

2014.04.21

教えられなくても解ける“先進メンバー”の勢い!

 私は物理の教員なのですが、ある年から、問題集等の問題をたくさん解かせることで理解を深めさせる方向性とは真逆の、できるだけ少ない問題演習量でも1つ1つ着実に理解する方向で大学入試に必要な学力を身につけてもらう、とう方向性の方が望ましいと考え始めました。

 試行錯誤の結果、高校物理の範囲はおよそ100前後の項目を理解すれば大学入試は大方カバーできることが分かりました。
 そこで、項目をキリの良い100にまとめ、1枚で1つの項目を学べるプリント群を作成しました。(1つの項目が複数枚に分かれている場合も幾つかあります)

 そのプリント群を、1段1段を登ると100段で大学入試に必要な学力に達する階段に例えて『物理のStairs(階段)』と名づけて、ここ数年運用しています。なお場合によっては、より適切な問題に差し替えるなど、マイナーチェンジを繰り返しております。

 今年の高校3年生は、いよいよ新課程の『物理』に取り組みます。ご存じの方も多いとは思いますが、新課程の『物理』の教科書は厚く(=『物理基礎』で扱う範囲が以前の『物理I』より減った)、しかし受験に対応するには原子の範囲まで終わらせる必要があります。

 そこで『物理のStairs(階段)』のうち、頻出項目のみ授業で扱い、残りは課外講習等で扱って、でも講習に参加できなかった生徒ともその内容をシェアしてもらうことで、できるだけ早めに量の多い『物理』を効率的に終わらせる方向で授業を進めています。

… … …

 学力差の広がりは全国的なものではないかと思っておりますが、本校の上位層には、東北大の医学部クラスに現役合格できる実力のある生徒もいます。

 そこで今年から

  • 高校物理の範囲を早めに終わらせたい人には、講習用の『物理のStairs』を授業・講習の進み具合より早くに配る。
  • ただし、正解できなければ次のプリントは貰えない
  • 授業で教えていない範囲のプリントを配ることになるが、高校物理の範囲を早めに終わらせたいという意欲に任せて、自分で教科書等を読んで理解して正解するように
  • なお、一人で苦しむ必要はない。高校物理の範囲を早めに終わらせたい人同士で互いに教え合い、学び合って、正解してもよい
  • むしろ、自分で勉強して理解した方が忘れないし、更に他人に教えることでより定着する。教わる方もメリットだろう

と指示をしました。

 すると、物理選択者の約半数がこの取組を希望しました。(「高総体後から取り組みたい」という生徒もいました)

 彼らを、授業に先んじて問題を解き進める“先進メンバー”と名づけています。

… … …

 始めた当初はやはり「習ってないことは難しい」と、生徒たちは悪戦苦闘していました。ところが数人、習っていないところでもあっさりと解ける生徒がいるのです。
 更にそのあっさり解ける生徒は、授業で扱う3段を飛ばしたその次の段の問題でも、いともあっさりとクリアするのです

 そこで気付きました。
 私は新任の頃より18年、「(難しい)物理が分からない」という声に応じて、より分かりやすい授業を目指して努力してきましたが、それまでの授業の大半の説明が不要な生徒が、少数いる、ということです。
 更に、そうした生徒たちから教えてもらえて、互いに学び合える環境を整えると、“先生が教えなくても自ずと受験に対応できる”のです。

 巷で有名な反転授業の、授業に先んじて家庭で行ってもらう動画での学習ですら、彼らには不要、なのでしょう!
 恐らく、アクティブ・ラーニング型授業の、最初の講義の部分すらなくても、すぐに演習に入れます(^^;

 ただし、授業が全く不要になったわけではありません
 当然、先進メンバーと同様の進み方ができない生徒が、半数以上はいます。(現在は先進メンバーが半数以上でうが、いざ取り組んでみると中々上手く学べない、という生徒も出てくると予想しています)
 また、授業に先んじて問題を解き進めることはできても、我流の学びでは実は、公式の理解などで勘違いした理解をしている場合が、ままあります

 そこで、「授業は着実に進んで欲しい」という生徒には分かりやすい授業、先進メンバーにとっては後追いの授業が復習と補足となり、より確実な学びをもたらす授業をすることとなります。

… … …

 ここまでお読みくださって、気がついた方も多いと思われますが、要は同じ教室の中に、授業より先のことを勉強している生徒、授業通りに学んでいる生徒、そして(一度聞いても実は理解できていないため)授業からやや遅れている生徒と、共存していることになります。

 大変そうではありますが、そこを手助けしてくれるのがICTです!

 個々の先進の具合と、クラスの席をリンクさせるエクセルファイルを作成し、『物理のStairs』のプリントの配布具合をチェックできれば、漏れはありません。
 またそもそも、授業で扱う頻出のStairsは、授業の進み具合に合わせて配布して取り組ませるので、先進メンバーの定着具合も、そこでチェックできます。

… … …

 一斉授業のデメリットは、以前から指摘されている通りです。
 ですが、工夫を施すと、一斉指導を行わなくても、個別の学びを把握しながら、最終的に教科書を終わる段階で、全員がある程度教科書の内容を理解できるようになりそうな予感をしています(^^)

 まだ始めたばかりです。応援してくだされば幸いです。

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