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2008.08.13

授業づくりネットワークin仙台 にて学ぶ

 ディベート甲子園の次の日ですが、仙台・東北福祉大学国見キャンパスで行われた『授業づくりネットワーク2008in仙台』の、2日目の…午後のプログラムを見学してきました(^^ゞ(さすがに朝からバリバリ、という訳にはいかず…m(__)m)

 既に知らない方も多いと思うのですが、ディベート甲子園や全国教室ディベート連盟は、授業づくりの中で「ディベートという教育手法がある。これを授業に導入すると、相当な効果が望めるのではないか」というように考えた先生方が集まって、授業作りネットワークから特化する形で、『全国教室ディベート連盟』という、授業にディベートを導入するノウハウ(教室ディベート)を広め、更にはその成果を試す全国大会を開く組織、が生まれたのです。(概略ですいません。詳しいことが書いたサイトがあれば教えて下さい。その後の動きは、筑田先生の【こちら】を)
 その関係で、ディベートで知り合えた方々に、再びお会いして挨拶をすることができました。
 (日程的にかぶってしまったのは、該当の先生方にとっては残念なことだとは思いますが…)

 更には、僕は教員になって13年目なのですが、教員になる前後に、パソコン通信でお知り合いになった方々に…約10年ぶりにお会いできた人、互いの存在は十分に知りあっていたものの、初めてお会いした方もいて、僕にとっても喜びと刺激の多い日となりました。

 授業づくりネットワークの中で旬な話題の「授業に笑いを」という実践に特化した「お笑い教育祭り2」を見学しました(^^)
 その、10年ぶりにお会いできた方は、『お笑い教師同盟』で大きな役割を担っている方なのです。
 授業の効果を高めるためにも、笑いがたまにあったほうがいいと思います。
 ただ、今回見学したのは、小学校の実践が多く、それは馬鹿馬鹿しくも(^_^;)全体的に盛り上がり、一つの方向に向かって取り組んで、何か印象深いものが残る、という作りになっています。もちろんその中にも、反復など、授業実践者の意図が反映されているつくりになっているところが、ただのおふざけとは違うところです(^_^;)。ですが、高校物理ではちょっと(笑)

 会場で、ディベート授業のサポートをさせて頂いた、涌谷中学校の先生にお会いしたのですが、宮城県でもこのように、授業の質的向上を目指して研究・研さんを重ねている方々がいるのだな、と思いました。

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 さて、最大の収穫は、日本教育大学院大学の北川達夫先生による「フィンランド教育に学ぶ対話型授業」の講演を聞けたことです!

 北川先生は外務省にお勤めの経験があり、国家間交渉の場で恐らく責任のあるお立場になった経験があると思われます。そういった交渉の場では、「相手も人間である」が唯一の共通点であり、それを頼りに(互いの違いを尊重しても理解しあえる可能性がゼロではない、という希望を頼りに)行うコミュニケーションが必要とされる、ということが背景にあると思われます。

… … …

【対話に必要とされる技能】
<前提:相手のことは分からない>

1.徹底した言語化
言わなければわからない。

2.自己移入(←→感情移入)
 相手のことは分からないから、自分を相手と置き換える

3.バイアスの表出化/価値の相対化
 価値観を共有しているという幻想の排除

… … …

(補足:口頭で説明されたこと)

0.相手の考えの尊重
 何を言ってくるかがわからないから、いったん受け入れる。
 (理解がないのに)切り捨てることは、かなり危険である。
 (外交交渉においては、相手の琴線に触れて、深刻な事態を招く可能性がある)

… … …

 教室ディベートが、この対話型授業の典型なのです!
 ですから、この前提を元に、議論を構築するよう指導する必要があります。

 「相手の主張をいったん受け入れる」というのは、中高生、特に中学生にとってはハイレベルなスキルが必要な話です。高校生だと器量が増しますから(^_^;)
 いったん受け入れようと思っても不明な点があるから、ディベートにおいては「立論を聞いた後で質疑」となります。
 ですから、相手を否定するような質疑というのは、聞いていて違和感を覚える人が多いと思うのですが、この「対話型授業」で必要な「相手の主張をいったん受け入れる」という考えに相反しているので、「それはまずくない?」と思ってしまうのでしょう。特に教員側から指導が必要なポイントです。

 また、「徹底した言語化」は、口頭でのコミュニケーションを拠り所とするディベートにおいては必須ですが、北川先生は「分かりきったことでもいちいち説明する」と表現しました。
 さて、ディベートにおいて<相手>とは、実は ジャッジ なのです。
 ですから、何気なく当然と思ってしまうことほど、いちいち、徹底して言語化して説明する必要があるのです。

 前日、会津高校が敗れて「何がまずかったのか」という課題を持ち帰っていたところだったので、次の日に答えの方向性が与えられて(^^)
 どのような言葉を伝えたら、それが伝わり、納得してもらえるのか…そのために必要な、ベースとなる考えを基に、深く考えたいと思いました。

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 授業作りネットワークの大会が終わった後は、池田先生に北川先生を誘って頂いて、ほかの方々もお誘いし、また上述した涌谷中学校の先生もお誘いして、喜助で牛タン三昧(^^)かなり喜んでいました。
 涌谷中学校の先生が「恐れ多い」とおっしゃっておられたのですが、北川先生自身が「知識のあるなしで対話ができない、という考え方が対話を阻む」とおっしゃっていたので、むしろ相手を尊重して対話をするために、牛タンを一緒に食べましょう、とお誘いしたのでした。

 夜は22時から、ディベート甲子園でも授業作りネットワークでも、両方で裏方を頑張られている、北海道支部の古西先生と飲みました。お疲れでしょうに「メールニュースを出してから」ということでお付き合いいただきました。熱く語り合いました。古西先生のジャッジの立場としてのお話を伺って、「価値の比較の前に議論の決着を、その前に『言葉の決着』を」というアイディアに至りました。たとえば「ここでいう失業とは?」と試合の流れにおける「失業」という言葉に意味を持たせ、ジャッジの理解を促し、メリット・デメリットのインパクトをイメージしてもらう、ということが大事かと思いました。

 ディベート甲子園を踏まえた学びのできた日となりました。良かったです(^^)

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コメント

「分かりきったことでも一々説明する」
「言葉の決着」
 ・・・とても深い視点ですね。
 ディベートにおける消化不良感をなくすためには、言語化の持つ本質的な効用と弊害に、もっともっと着目していく必要があるのだろうと感じました。
 社会活動は主に言語を通じて営まれるわけですが(それだけではないにせよ)、それゆえの陥穽、というのがあるはずですものね。
 つくづく良い言葉だと感じました。
 ご紹介、ありがとうございます。

投稿: masashi | 2008.08.13 15:21

>masashiさん
 コメントありがとうございます。m(__)m

>言語化の持つ本質的な効用と弊害に、もっともっと着目していく必要

 さすがです。
 実は北川先生は、対話の限界、すなわち、言語コミュニケーションの限界、についても語られていました。
 限界があるからこそ、より伝わるような工夫を高めていく必要があるのでしょう。
 あと少し高いレベルのディベートなら指導できそうな気がしています。
 これからも情報交換をよろしくお願いします。m(__)m

投稿: NAKO-P | 2008.08.14 19:02

nako-pさん 10年振りの再開うれしかったです。
あのお笑い教育祭りの本質を
私以上によく掴んでいらっしゃってて
非常に嬉しいです。
高校物理ではちょっと、
て感じる方も多いかもしれませんが、
私の高校時代の物理の先生、非常に面白かったですよ。
わたし物理は苦手だったのですが
それでもよくわかりましたね。
理科で使えるお笑い教育のネタも、
追究して行きたいと思っています。

投稿: お○べ | 2008.09.04 22:43

 お○べさん、書き込みありがとうございます。
 久々にお会いできてうれしかったです。
 生徒にとっては難しい高校物理だからこそ、笑える要素を盛り込んで、で、理解に繋げる、という小ネタを盛り込んだ授業はしているんですよcoldsweats01でも、笑いは“スパイス”程度で、真面目な要素の割合の方が大きいかな(^^ゞ

 これからもお互いに頑張りましょう!

投稿: NAKO-P | 2008.10.11 06:03

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