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2006年8月13日 - 2006年8月19日の7件の記事

2006.08.19

代替わりの部活第1回&【共通論題】

 新メンバーでの部活動第1回の集まりを持ちました。

 中学生のうちの一人が、修学旅行の準備で学校に来るということなので、私の講習が終わったあとに集まってくれ~と、残りのメンバー2人に電話&メールで連絡をして来てもらうことにしたのです。残りの2人は学校へ自転車で来れる距離にいるので、何とか来てもらいました。休み中に来てくれてありがとう(^^)/

 でも、全国が終わったこの時点でやらなくてはならない大切なことは、

  • 図書館の本を返す
  • 八木山動物公園へ資料を返しに行くスケジュールを確定させる。

 特に八木山動物公園からお借りした日本動物園水族館協会発行『新・飼育ハンドブック』が、本校の立論や反駁の各所に活かされたことを考えると、論題発表後の学年末試験後に、八木山動物公園へ行ってお話を伺ったり資料をお借りしたことはとても有意義だったと思っています。月曜日に御礼がてら、返却に行きます。

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 もう一つは、北海道・東北【共通論題】で何をやりたいか、意見を聞かせて欲しい、ということでした。

 「中高生の目からみて、どの論題に取り組みたいのかな」と思って、気楽に選んでもらおうと思っていたのですが、彼らはやはり全国を戦ったディベート部員でした!

 「プランを考えることができても、その後で具体的なメリット・デメリットが展開できなさそうな論題は避けた方がいいですよ」(E君)

 をを(^^;
 いざ取り組むことになった時に、メリット・デメリットの両方で勝ち筋が見つけられそうな論題を探しているのです。
 論題を選考する側よりも、選び方がシビアです!(^^;
 「うん、ディベートに対する目が鋭くなったなぁ」と、少し嬉しく思いました。

 で、上位3つを選んでもらいました。
 3人+高3のメール1人=計4人分で、1位3点、2位2点、3位1点、で点を付けてみます。
 なお、中学生2人は結果が同じとなりました。

《東北学院中高ディベート部員の論題希望》
9点:4)日本は救急車を有料化すべきである。
4点:15)日本国民は、18歳から25歳まで2年間の間に、農業活動に義務的に参加
    しなければならない。
3点:29)日本は刑事罰に社会奉仕を導入すべきである
3点:10)日本は「裁判員制度」の導入を撤回すべきである。(要ワーディング)
3点:1)日本は、選挙年齢を満16歳以上にするべきである
2点:22)日本は小学校に英語教育を導入すべきである

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 その他、議論の最中におもしろいなあ、と思った部員たちの意見です。

  • ゼロトレランスの導入→校内の罰則に関して、誰がどのように、どの程度の罰則を定めるのかによって、メリットもデメリットも大きく違って来そう。否定側も結構大変だけれども、肯定側も結構大変。(このあたりは、どのように議論されていたのでしょうか?>筑田先生)
  • 靖国問題→4分間でメリットとデメリットが論証できるかどうかがタイヘンそう。

 北海道支部のねずみさんのBlogで、集約して頂けそうです。
 「もしも取り組むとしたら~」と考えて、是非とも御意見等、お寄せ下さい(^^)/

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2006.08.18

八木山動物公園へ

 会津高校が決勝で勝利したことには、多くの示唆に富む内容があることをお伝えしたくて、連載を続けていますが、どーも長くなっていて申し訳ないです。当日の議論について書き出したものを振り返ってみますと、なんか「僕がいうように戦ってもらって勝てたんだ」みたいな感じの文面になってしまっていますよね(^^;。それは大いに誤解であり、私が彼らの中にとても大切なことを見出せたと、何としてでもこの場でお伝えして、これからもディベートに取り組む全国の皆さんに、いつかの時に参考にしてもらいたくて書いているのですが・・・

 あぁ、今日から高3対象の夏期講習(物理)復活!

 また忙しい日々に逆戻りですよ (T_T)

 学校始まるまでに連載終わらせなくちゃって、あと幾つ書けば終わるんだ??

 加えて只今、本日行われる健康診断のために、昨日の夕食後、何も食べてません。
 日付が変わりまして、本日は水も飲んでいません。
 早く寝ろと妻は言います(爆)

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 そんなお盆休みに、夫婦で八木山動物公園に行ってきました(^^)/

 やっぱりですね、「動物園の全廃」を論題にしてディベートに取り組んでいなければ、こんなに動物園のことに注目していませんよ。理科の教員ではあるのですが、子どものころから現在に至るまで、理科の中で一番苦手なのが生物ですから(爆)

 で、実際に「動物たちは活き活きしているかな~」とか「勝手にえさを与えちゃいかん」とか「見られているだけでストレス感じているのかな~」とか、いろいろ考えちゃいます(^^;
 そんな中、飼育員の人が頑張って働いていて、ゾウとかがえさを食べていたり、カバとかがくつろいでいたりすると、やっぱりこっちの気持ちが和みます(^^)。ついつい、2時間半もゆっくりしちゃいました。

20060816154339_1

レッサーパンダ、可愛いんですって(^^) ぬいぐるみさんみたい(^^)

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 それから、もう一つ思ったのは、やっぱり動物園って、貴重なレジャー施設、っていうことです(^^;。だって子どもたくさん来ているし未就学児が入場無料ですから、親の立場にすると、子どもを安心して連れていける場所の一つですよね(^^;
 実際のディベートになると、この論点では勝てないのですが……(^^;

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 でもまあ、家に帰ると、手乗り文鳥のピー太君がいるわけです。

 本校S藤君曰く「やっぱりペットには癒し効果あります!ピー太君一羽いれば動物園要りません!」

 をいをい(^^;

 でも可愛いのはその通り(^^)>ピー太君(夫婦共に親バカm(_ _)m)

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2006.08.17

(1-5)道州制と国債についての仮結論

#最初から“である体”ということで、決勝当日のお話です(^^)/

 (1)~(4)に分けて書いてきたのは結局は、相手のデメリットを小さくする戦略を取り、プラン後のメリットでデメリットを克服し、上回ることができる、という手順についてみんなで深く考えた、ということだ。

 さて、戦略の説明、質疑応答の助言等をしているうちに時間が経って、この方向性で試合に臨めるか?という時に、「本当にデメリットは小さくできるのか?」という疑問が湧いてきた。それは(1)で書いた通り、「法人税は国に」というプランでも、道州で赤字が発生することは間違いないと考えられるからだ。

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 この話は、一週間前の合同合宿にさかのぼる。
 肯定:能代vs会津:否定のデメリットは「財政悪化」で、道州合わせて37兆円(すいません、今手元にその時ののフローがないもので、うる覚えですm(__)m)の赤字になる、というものだった。その場合、1家庭4人と仮定すると、1家庭120万円の負担増となるらしい。これは深刻だ(^^;。

 合宿後、本校の部員とOBとで「この額は本当か?」という話になった。
 いろいろ検討したのだが、結局算出根拠が分からない。
 時間もないので、ここは僕とF木君とのホットラインで、即座に電話をし「根拠と計算式をS藤君にメールしてくれ」とお願いした。(全国を控えた月曜日にこんなことができるのは、日頃から東北地区の各校が互いに情報を交換する、という信頼関係を築こうとしてきた素地がなければ無理だっただろうと、正直その日は思った。

 算出根拠は、『九州が道州制に移行した場合の課題等について(平成17年6月:九州地方知事会)』のp.24(pdfファイルのp.27)にある表であった。

 会津高校は今シーズン「税収は全て地方に→3割を国へ」というプランであったので、F木君はこの表から、国に収められる分を収入から差し引き、国債発行高も各州に割り振って、地方の不足額が37兆円になると試算した。

 合宿の練習試合の際に集まって下さった先生方及び東北大ESSの方も、「その試算が肯定側のプランに合致するかどうか不明。だが赤字は発生するだろうと考えた」という評価だった。
 ただ、東北大ESSの方は気付いた。
 「仮に、国民から集める税の総額が一緒で、行われるサービスの量も一緒という場合には、サービスを行なう主体が国・道州・市町村の間で変わるだけで、赤字が発生する要素がないのでは?」というものだ。
 その証拠に、先程の資料は、財政収支の合計が0になっている。

 そして僕は、会津高校のこの試算が、実は、現状の財政不足にほぼ一致しているのだと予想した。つまり、国債及び地方債の発行分がなくなった場合に、税収だけでは現状のサービスを維持しようとすると不足する、という当り前の結論だ。
 そして、この国債及び地方債を発行しなくて良い、プライマリーバランスが保てる行政の実現のためには、一家庭120万円くらいの負担が必要となる、といったニュースも耳にしたことがある…ような気がする(うる覚えでゴメンナサイ)。

#関東では、このデメリットを上手に回避するプランを立てている学校さんがありました。

 僕も実は、初期のころに、一部の道州が赤字となるこのデメリットに気がついていた。
 つまり、国が借金体制をつくったくせに、プラン後は、道州が借金せざるを得ない体制を押し付ける、ということだ。メリットでカッコイイことを言っておきながら、財政的な負の面を押し付けて「増税する権利も渡すからヨロシク!」では無責任だ。これを許してはいけない、というデメリットが立つのではないか、と予想されるのである。ただ、こういったデメリットは付帯条項(2)「財政調整を妨げない」が用いられて崩される可能性があるので、あまり深くは検討しなかった。

 話を戻すと、この算出根拠の表を見てもらえば分かる通り、関東ブロックの税収は法人税等の関係で飛び抜けて高い訳だから、「法人税は国へ」というプランで、関東ブロックからたくさん税収を取ることにより、格差は縮まり、それによる各州の赤字額の合計は18兆円となった。忙しい僕やExcelを使いこなせない現役部員に代わって算出作業をしてくれたA君、改めてありがとう。(&ここのBlogを見ていてくれてありがとう(^^)/)

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 …の計算結果を持っていったのだが、ここでF木君が、「先生、これは僕が想定していて、メールでお知らせした、歳入から国債分を差し引く作業をしていませんよ」という指摘をした。
 …うーん、そうだ(^^ゞ

 …で、その結果、このプランはどうなるのだ?

 一つ、国の抱えている巨額の国債残高は返していける、ということを説明した。
 プランによって、国は黒字になる。だから、あまった分を国債費として返済すればいい。
 返済するお金足りなければ、国債を返済するための国債を発行すればいい。それが許されるのは、発行された国債の利子分が、国の税収の黒字額で返済できる場合だ。今回はそれが当てはまるので、長い時間がかかっても、国の財政が黒字である限り、いつか返済できるのだ。

#それにしても、800兆の国債残高って・・・・・本当に返せるのか少し不安(^^;

 次に考えるべきは、本題の道州の赤字だ。
 で、それまでの会津の議論を知っている僕には、素朴な疑問が生まれた。

 「ところで、国:地方が3:7の、今までの会津のプランの場合、国が発行していた30兆の国債の分はどーするつもりだったの?

 で、その返事が、「今まで通り30兆円発行して、地方に分配する」というものだった。

 をいをい、それじゃあメリットが発生しないんじゃない?
 それじゃあ、地方交付税と一緒で、国のコントロールが残るでしょう(^^;
 (国というのは逆に言って、無目的ではお金を渡せないのです。お金の使い道に関して責任が生じていて、特定の人をえこひいきすることなく公平にお金を分配する必要があるからこそ「(設定した)条件を満たしているので、~~円渡します」という形になっていると理解します。…宮城県庁の担当の方から勉強させて頂きました。…逆に特定の人をひいきするとニュースになるわけです)
 しかもそれを、プランで言わないっていうの、まずくない?(…言えないか(^^;)

 で、そのまずい点を、準決勝で能代高校がしっかりと反駁してきたという。

 今回の決勝のための準備をするにあたり、そのような、自分たちの議論の不備を対戦相手から指摘されて「まずい!」と強く感じるような経験を積む経験が大事だったのだと思う。
 同時に、そのような時に、「試合に勝つために~」ではなく、「本来どのような議論をすべきなのか?」と考えることが大事で、そのように考えてもらうように、ディベート関係者は指導…まさに導くような心構えが大事なのではないだろうか。
 その点、東北地区では、本質的な議論を、と、指導する側全体が考えている。今でもそれを誇らしく思う

 で、話を戻すが、「国が30兆円の国債を発行して分配する」ということがなくなればやはり、財政調整がなくなる形で生じる道州の赤字が、モロに発生する…

 どうする?

 10分くらい、議論になった。

 立論のH田君が、「結局どうするのですか?」と聞いてくる。そりゃ「どんな質疑にも答えてやる」という状態になったのに、更にプランが変わるかもしれないのだから無理もない。

 ただ、どう考えても「税は地方→国へ3割」はまずい。国債の処理に無理がある。結局どこかで借金する必要があることは分かったが、国が借金して地方への配分するのはそもそも×。
 かつ、デメリットを減じる「法人税は国へ」のプランは捨てがたい。

 結論はこうだ。
 「足りなければ地方債を発行してもらうことにするしかない!

 (3)の戦略のところで解説した通り、プラン後は道州の財政的格差は縮まり、かつ道州制によるコストカットは確実で、それで多少の埋め合わせはできる。その後で、道州が選んだ自己責任による増税は深刻ではない。

 「法人税は国へ」のプランは、現実面で言うと正解ではないかもしれない。が今大会、残すは決勝のみの1試合。真に道州制にふさわしい税収のプランは、次に道州制でディベートをする際に、ディベーターの方々に考えてもらうしかないだろう(^^;
 ここは一旦、“仮の結論”として、法人税プランの実施を提案した。

 更に一言。僕は言った。

 これが、本当に、本当に、僕の助言と指導のの最終的な結論だと思う。

 「(もしこのプランと戦略で)仮に負けたら、俺が土下座して謝るから!

 どんなに準備しても、誰もが認める強い相手なのだから、負ける可能性はゼロにはならない。あとは、今できることを頑張ってもらうしかない!残り時間を考えて、次の準備に移ってもらうように促す意味も込めて、こう言った。いや、ここまできたら、勝敗に関わらず会津高校のメンバーが積み重ねた努力の貴さは変わらないのだから、仮に負けたら「すいません、僕が謝ります」としてもいいじゃないか!と、本当に思った。

 時間は朝の7時20分、会津の部屋に来てから2時間20分。みんなには食事をとってもらい、出発の準備をしてもらう時間だ。僕が会津の準備部屋を離れる時に、F木君をはじめ「ありがとうございました」と御礼を言ってくれたが、当然こう切返す「お礼はまだ早い。東洋大でも更に手伝うから。」

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2006.08.15

(1-4)肯定的な質疑

 今年の東北代表校(本校はもちろん、河東中、会津高、能代高)の質疑者に、訴えるように指導したのは、「“肯定的な質疑”をしよう」ということです。

 質疑は難しいパートだと思います。
 そして更に「試合において質疑がどういう意味を持つのか、自分の質疑が試合に役立ったかどうか、実際のところ実感がわかないし、よく分からない」というディベーターは多いと思うのですがいかがでしょうか?

 実は、前回も紹介した、私が大会中に入手した全日本ディベート連盟監修・久保健治+関真一郎+天白達也著『ディベートワークブック~練習問題で学ぶ・はじめてのディベート』に、これについてもやはりきちんと答えが書いてます。(このテキストは、やっぱり流石です!)

p.76より引用開始
「質疑というと分からないところを聞くというイメージが強いと思いますが、それだけではありません。質疑には次の二つの役割があります。

(1)分からないところを聞く
(2)反駁につなげる為に聞く

 特に優秀なディベーターほど(2)の作業が上手です。」
引用終了

 ・・・この「反駁につなげる為の質疑って何?」というのが、多くの質疑者の疑問だと思われます(^^;。

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 上記に関する最も簡単な考え方は「相手の主張の根拠が確認できればOK!」という発想です。

 具体例で考えますね。

【まずは良い例】
肯:「デメリットは『教育的な役割がなくなる』ですね?」
否:「はい」
肯:「このデメリットは、本来動物園に教育的な役割があることが前提で、それがなくなるからデメリットなのですよね?」
否:「はい」
肯:「ところで、動物園にある教育的な役割って何ですか?」
否:「本物の動物を直に見ることで、子どもたちが感動する、などのことです。」
肯:「つまり肯定側は、動物園の廃止で、そのような感動がなくなるからデメリットが生じる、とおっしゃるのですね?」
否:「その通りです。」
肯:「わかりました。」

=>この質疑応答の結果、次の2点の反駁が可能となります。
 
(質疑をしていなくても反駁は可能なのですが、質疑をして相手の考えを確認してからの方が、反駁が“確実なもの”となります

  • 動物園には本来、教育的な役割はない。(展示に工夫をしているのかもしれないが、そも教育効果のための工夫ではない。(資料あり))
    →相手が考えている“前提条件が誤り”なので、デメリットが生じるという主張の大部分が崩れる
  • 感動等がなくなるのが問題だと言うのであれば、牧場など他の施設でも、本物の動物から直に感動が得られるので、動物園を全廃しても問題はない。
    →相手が問題にしているものが、ほかの手だてでも得られるのだから、プラン後に生じると思われる問題は自ずと解消され、深刻性が大きく減じられる。

 もちろん、相手の立論に応じてその他の反駁も可能でしょうし、上記反駁に対する再反駁も当然想定されます(^^)。ただここで御理解頂きたいのは、質疑応答の結果として相手の主張の根拠が分かれば、その根拠を反駁することによって、相手の主張をひっくり返すことができる、ということなのです。
 つまり、相手の主張の根拠を明らかにすることだけを質疑の仕事にして、根拠を否定する作業は反駁に任せる、これが「質疑と反駁の連携」となるのです。すなわち、質疑と反駁との役割分担です!

【上記と比較して悪い例】
肯:「プランの導入により、失業者が○○万人出るのですね?」
否:「はい。X番目の資料で述べてます。」
肯:「次のY番目の資料では、失業者のうちの**%が鬱病になって、自殺するとありますよね。」
否:「はい」
肯:「ところでこの二つの資料では、この失業者は再就職が不可能といった証明はありませんよね?」
否:「・・・はい」
肯:「じゃあ、○○万人のうちの~~人が自殺するという話は変だと思いませんか?間違ってますよね?否定側が勝手にそう思っているだけですよね?」
否:「・・・・・(もう一度同じ象徴を繰り返すか、自分の見解を述べるか)」
肯:「(相手の言い訳を遮り)ありがとうございました。次の質疑です。」

 このケースでは、肯定側の質疑は最後の質疑をすることで「よし、一つ議論を潰した。これで手柄を立てた。チームに貢献した!」と思ってしまうのでしょうが、このやり取りは聞いている側は非常に不快に感じられます。明らかに、相手が答えたくないことを敢えて聞くイヤミな質疑ですよね。答える側も「そこで『ハイ』と答えるとチームに迷惑をかける」ことが分かっていますから・・・私は、そういった質疑は避けるべきだと思うのですがどうでしょう?
 更に「ありがとうございました」と言うのは、何に感謝しているのでしょうか?「うちのチームに有利な情報をありがとう!」というように聞こえちゃいますよね?
 このようなやり取りが、惰性で行われている現状のまずさに気付いて欲しいのです。ディベートの普及、といった観点で言えば明らかに大きなマイナスだと思っています。

 ちなみに質疑の方は、「ありがとうございました=Thank you!」ではなく「分かりました=OK! I see!」と言えば十分だと思うのです。ちなみに「分かりました」の方が時間の節約となり、これだけでも有利です。

 上記の例で言えば、物は言いようで、こういう聞き方をすればジャッジは十分に、質疑の意図を理解してくれます。

「X番目の資料は『失業者が○○万人出る』という資料で、Y番目の資料は『失業者のうちの**%が鬱病になって、自殺する』という資料だと受け取ったのですが、合っていますか?」

 …「はい」と答えてもらって、「分かりました」でいいですよね?

 更に実はこの資料に関することは「質疑する必要がない」のです!
 簡単に言えば、相手の議論を否定する作業は質疑がしないで、反駁に任せればいいのです。
 準備時間に証拠資料の提示を求め、反駁で下記のように述べれば充分です
「相手は失業者が出ることは証明していますが、再雇用等の可能性がないことは資料中には書かれておらず、相手はそこまでの証明ができていません(←カードチェック)。むしろ、有用な職員は~~に採用されます(←ターン)(更に対抗資料があると超Good!!)よってプランを実施しても、~~人が自殺するという深刻性には繋がりませんので、プランによるデメリットは極々小さいです。」
 ・・・質疑で立証不足を尋ねるより、反駁で立証不足をアピールする方がカッコイイのです!

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 もう一つ【良い例】を見て気付いて欲しいのは、“肯定的な質疑”をすれば、相手側は「はい」とか「その通りです」と答えるのみなので、時間が節約できる、ということです。肯定的な質疑応答がテンポ良く続くと、見ている側も気持ちがよいです。かつ、内容や主張の根拠が明らかになって、全体として「分かりやすいディベート」に繋がります

 仮に相手が「違います」と答えたら、すかさず「何故ですか?」と聞きましょう。こちら側の想定しなかった相手の根拠が分かります。それはそれで、反駁に活かせるのです。

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 さて、決勝当日の朝の話に戻そう。(いつものごとく“である体”にします)
 プランの変更、戦略の提案を踏まえて、質疑のK村君の指導をする。
 当然、戦略を踏まえた議論をチームができるようにするための質疑をしてもらたいのだ。

 最初に「どのような質疑をする予定だった?」と聞いてみた。すると「肯定側の質疑はまずは、相手の議論の固有性を聞くところからはじめています」との答え。固有性は主に深刻性に表れている。

 「その発想はOKなんだけど、まずその前に、相手の立論の前提条件を聞いておこう」と提案する。

 昨年あたりから、第二反駁のスピーチが上手で、よいまとめをするために、立論で言われている方向性と多少議論のまとめが違っていても「をを、素晴らしい」と、まとめが上手な側に投票されるケースが目立ったそれを回避するために「相手側は立論でこう述べている」ということを質疑の段階で“確定”させておくのだ。

 それが前回書いた「デメリットが最大でとても深刻だと言える状況とはどのような状況なのか」の確認だ。

  • デメリットが深刻なのは、プランの導入後に結果として、住民に身近なサービスができなくなるからですよね?
  • そのサービスができなくなるのは、そのサービスをするお金がない、つまり道州が赤字になるからですよね?
  • 現状の国も、国債の発行額が30兆、返済額が18兆ですから、赤字だということはご存じですよね?

 …赤字が違うというのは、繰り返すが、試合をしてみるまで分からなかった。
 上記の質問が、相手の主張の根拠を確認しているものであるが、確認後にそのポイントを、戦略通りに反駁する意図もあることも分かってもらえるだろう。逆算のディベートにおける質疑だ。

 次に固有性、つまり深刻性への質疑。
 これも、あらかじめK村君に「どういう質疑をする?」と聞き、相手が答えたくないと思うものや補足で長々と語られそうな質疑は“肯定的な質疑”へと表現を改める、という作業をした。

  • 数あるサービスの中で、自治体が、住民に身近なサービスを選んでそれをしない、という決断をするのは何故ですか?
  • 赤字の額がいくらくらいだと、そのサービスを切らざるをえない、と自治体は判断するのでしょうか?(←リンケージの確認…この手の質疑を否定的に受け取る人もいるかと思いますが、一応。)
  • なぜ増税をせずに、サービスのカットを決断するのでしょうか?
  • 住民に負担があるのを避けるために、増税をしないでサービスをカットするのですね?
  • では、サービスのカットと増税とであれば、住民はどちらを選ぶと思いますか?

 最後に発生過程への質疑…なのだが、恐らくテンポ良く聞いても時間が不足すると思うから、「発生する条件や根拠が分かればOKなんだよ」と助言した。

 恐らく「いくら肯定的に聞いても、相手は、自分たちの立論のアピールポイントを付け加えて補足をする感じで、時間を上手に浪費してくることが予想されるので(^^;」とはアドバイスしておいた。創価高校はそれが伝統的にうまく、かつ、それがはまると、ジャッジは立論を更に理解して、応答で有利な状態をつくるのだ。

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 こんなやり取りをしている時に、F木君が「先生、K村君は準決勝の能代戦で先生の教えに従って、上手に肯定的な質疑を繰り返し、『分かりました』…『分かりました』、そして最後に『ありがとうございました』と、模範的な質疑をしたんですよ」と教えてくれた。僕は創価vs徳島文理を見ていたので分からなかったのだが、僕の指導の意図を汲んでくれたことが嬉しかった。
 ただこのことは、お互いに手の内を知りつくした2校なので、質疑も応答もやりやすかったのだろうと推測する。何せ一週間前に合同合宿で試合をして、お互い“夜の準備時間”に、相手の議論を詳細に検討し合っているのだから(^^;

 ちなみにこの会津vs能代の準決勝を見ていた人の感想を聞くに、双方から出された議論が全て活かされて、よくかみ合っており、双方の2反のまとめもとても上手で、おもしろかった、という話だ。
 結果は3-2で会津。

 会津高校も、能代高校も、いい議論をしてくれているのかな、と思った。
 ・・・後れを取っている本校も、早く追いつきたい!

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2006.08.14

【共通論題】27→13に絞る

 北海道の担当の方々と協議した中では、今週中には最終候補を絞り、その中から1つに決定してワーディングの作業をしよう、ということになっています。

 で、27+3=30も論題があるのですが(^^;、その中から最終候補を選ぶ作業も大変ですので、こちらによせられたコメントなどを参考に、13に絞りました。

☆北海道原案
2)日本は、外国人に選挙権を与えるべきである。(要ワーディング)

☆過去にD甲子園で行ったもので近年状況が変化した論題(付帯条項は検討し直す)
4)日本は救急車を有料化すべきである。

☆名越原案
7)日本の中学・高校では、就職体験学習を義務化すべきである。(要リサーチ:肯定側)
10)日本は「裁判員制度」の導入を撤回すべきである。(要ワーディング)
12)日本はアジア共同で、歴史の教科書作りをすべきである。(要リサーチ:否定側)

☆でぃべーたぶるに寄せられた原案
13)日本は義務教育にゼロトレランスを導入すべきである。
15)日本国民は、18歳から25歳まで2年間の間に、農業活動に義務的に参加しなければならない。

☆ディベートアゴラ論題
22)日本は小学校に英語教育を導入すべきである
23)日本政府は、全ての男性の正規労働者に、その子どものために育児休業を取得することを義務付けるべきである。

☆“大衆論題”
26)日本は国技を変えるべきである。是か非か。(何にするかは肯定側次第)

☆でぃべーたぶる追加論題
28)「日本は結婚を義務化すべきである」(要リサーチ:肯定側)
29)「日本は刑事罰に社会奉仕を導入すべきである」

30)「日本は靖国神社を国営化すべきである」(恐らく要ワーディング)

 …採用に賛同の意見が多かったもの。
 …大会用の論題としての採用に懸念材料があるもの。

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 西部先生には申し訳ないのですが(^^;、28)は、プランの設定等が大変そうです(^^;
 もし補足説明があれば、お聞かせください。m(_ _)m

 この13に絞ってみたときに、中高生が身近な論題なのだと感じてくれるかどうか、という観点で言えばどうなんでしょうねえ?年齢に応じた論題か否か、とか、中高生でも論点が思い浮かべやすいか否か、とか。
 ただ、多少難しくても「中高生の皆さんよ、一緒に考えようぜ!」と言いたくなる論題もありますよね。 ・・・【共通論題】だから、難しいものを設定するにも限界があるかな?

 更なるコメントをお寄せ頂けると有り難いです>ALL
 (たくさんの方からコメントが欲しいのですが、一人だけ指名させて頂くと、岡山さ~ん!)

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業務連絡:土曜日から今日未明までの私宛のメール

 大学のシステム更新作業の影響があり、12日(土)の午前9時半~14日(月)の午前3時までのメールが、場合によっては消失してしまった可能性があります。

 大切な用事で私宛にメールをされた方がいらっしゃいましたら、お手数ですが、現在は復旧しておりますので、メールの再送をお願いいたします。m(_ _)m

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(1-3)戦略の共通認識

 「ディベートは難しい」「中々勝てない」「地区予選で勝ちたい。全国でも他地区の学校と対等に渡り合いたい」・・・ディベートとは、やればやるほど、勝ちにくさに苦しむ競技だと思います。かく言う本校も、昨年、今年と全国で1勝もできてませんし、勝ちにくさに苦しんでいる立場です…(T_T)。

 「3-0で負けた」「1-2で負けた」…「どうしたらジャッジに投票してもらえるのか?」・・・悩むのは当然だとは思うのですが、だからといって相手側に投票したジャッジに「どうしてこの議論を採ってくれないのですか?」と文句を言っても、勝敗は覆らないし、全くもって建設的ではない・・・どころか実は、文句を言っているチーム及び選手は、ディベートに関する肝心なところを理解していないと思われます。だから勝てないのでしょう。

 では聞きますね。ジャッジに「なぜ僕等の議論を採らない?」と文句を言うあなた。
 「あなたたちはチームは、勝つためのスピーチが出来ていたのですか?
 「=どの部分をもってジャッジに『勝ち』と投票して欲しかったのですか?

 …それを言えないくせにジャッジにはいっちょまえに文句を言うのであれば、
  チームとしての無責任さを自覚した上で、顔を洗って出直して来たほうがいい!

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 「そんなキツいこと言わないで下さいよ。それが分からなくて困っているんですよ!

 …という皆さんには是非知って欲しいディベート用語があります。

  戦略(ストラテジー:strategy)

 「…? 初めて聞きますが…」という人もいるかもしれませんね(^^;。

 具体的にはこちらを御覧下さい。

  『反駁の方法 by 岡山洋一(2000.5.18)』 

 ここに、大切なポイントが書かれています。

>1-3 反駁で出てこなかった議論は、審査の対象にならない?

>主要争点を見極め、それを伸ばし、引っ張る。反論されたら、反駁するというようにしないと、勝ちには結びつかない。つまり主要争点の戦略的選択が重用なのである。

>6 立論、質疑の役割

>各反駁での役割を説明してきたが、ここで、立論、質疑の役割にも簡単に触れておく。反駁の戦略が決まれば、おのずと立論の作り方が決まるからであり、また質疑で何を聞くかも決まってくる。よく立論を作って準備終わり、また立論を作るだけで精一杯というようなチームを見る。つまり立論から作り始めているのである。これは間違いで、極端に言うならば、第2反駁から考えていかなければならないのである。つまり肯定側なら、どのメリットでどのようにデメリットと較べ、どう優位性をつけ、どうやって勝ちにつなげるのかをまず考える。そうすることによって、おのずから立論、質疑でどうするのかが決まってくる。つまり逆に第2反駁から考えていくのである。

 ディベートの指導者の間で『逆算のディベート』と呼ばれる考え方です。
 (これが2000年のテキストですから。今2006年ですからね!ディベート自体についても幅広く勉強しましょう!)

 また、戦略(ストラテジー)は、ESSなど、大学でアカデミックディベートをしている方々にはよく知られている用語です。目上の方からディベートを学ぶ際には是非、聞いてみて下さい。
 関さんのテキストにも書かれています。これを機に参考に御覧ください。

 つまり戦略というのは、立論→質疑→第一反駁→第二反駁という流れでチームのスピーチが終わった時に、ジャッジが納得して投票してくれるような結論が述べられるようにするための手順、という感じです。

 実はそれは、試合の場で閃くようでは遅くて、あらかじめ想定し、準備しておくべきことなのです。

#但し、試合展開に応じて、臨機応変に対応する必要もあります
#何故かと言えば、ディベートとは相手がある競技だからです。
#相手に応じて最良の選択がその場でできるることも“強さ”です。

 改めて聞きます。
 ジャッジに文句を言うディベーターは、試合前にどのような戦略を準備していましたか?ジャッジに納得してもらうためのスピーチが編み出されていて、それを実際に試合中に、ジャッジに伝えることができましたか?

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 戦略の意義に理解して下さってもなお、下記のように嘆くディベーターがいるでしょう。

 「第二反駁がうまくできないんですよ~
 「議論の比較・まとめってどうすればいいんですか?

 岡山先生は、事前に戦略を考えることを勧めている。こちらのページをご覧下さい。

 更に具体的な第二反駁のスピーチについての提案と事例については、駿台甲府高校OBの曽根君が書いたテキスト『第2反駁講座』が公開されています。是非御覧ください。

 そして今年の私は、みんなと同様に第二反駁について数年悩み続けた結果、あるシンプルな方法に行き着いたのです。
 これは、東北地区高校代表校合同合宿での出来事でした。能代高校の2反担当のI君が、2日目の夜に僕のところへ質問に来ました。
 「第二反駁で何をしゃべっていいのか分からなくなった。さっきはスピーチはしたが、実は頭の中が真っ白で、自分で何をしゃべったか覚えていない。こんな経験は初めてだ。今までの部内試合では、1反の有効性をとってもらっていたケースが多く、2反はしゃべるだけで良かったのだが、ここにきて2反が大事だと痛感した。どうしたら良いのか?
 しゃべることが思いつかない中で、2反の役割を果たすべく、何をしゃべるかをどのように考えたら良いのか?

 ここで私は、“あまり考える必要がなくて、かつ有効な方法”を閃いたのです。

 「ラベルだけを並べて比較しよう!」

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 具体的に考えてみましょう。
 そしてそれが、大会当日の朝、会津高校に“提案”したことである。(ということで、ここから“である体”に戻ります)

 会津高校のメリットは「地域主体の行政の実現」
 創価高校のデメリットは「公共サービスの低下」

 ここでラベルについて。ディベート甲子園のガイドラインでは「メリット/デメリットはラベルで示す」となっている。
 かつ、ラベルは、立論全体の中身をきちんと表しているはずだ。

#立論の中身とラベルがズレていると、ジャッジがメリット・デメリットを評価しずらい=負けやすい、ということがありますのでご注意を。

 中身を丸ごと表しているラベルだからこそ、それらを単純に並べて考えるのだ。
 「『公共サービスが“仮に”低下』してもなお、『地域主体の行政を実現』させるべきなのです。なぜなら~~(以下“ジャッジを説得させる”理由を述べる)~~。」

 ここで大事なのは、上記の“ジャッジを説得させる”理由を第三者が聞いた時に「一理ある」と頷いてもらえるような理由を述べることである。それができなければ、到底論題を肯定も否定もできないのだ。ジャッジというのは、双方の議論に公平に耳を傾ける善良な大人の一人、と考えるべきだと僕は思う。(だから尚更、“善良とも公平とも思えないジャッジ”に対してではない限り、ジャッジに文句を言うディベーターの気持ちが理解出来ない。)奇数人いるジャッジの多数派が、チームの主張に「一理ある」と頷いてもらえないと、投票してもらえないのだ。

 かといって、投票してもらうのはそう簡単ではない。
 かつ、相手の議論が一理ある強いものであるならば尚更だ。

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 投票してもらう理由を探るためにやるべきことは、相手の議論を理解することだ。

 前回書いた『●○』で考えてみる。あらかじめこの手法を会津高校のメンバーには伝えているので、当日の朝は話が早かったのだ。

 ○…現状を維持すれば、弱者に対するサービスが、国の責任で維持される。
 ↓…道州制によって格差が生じ、サービスが維持できない状態となる
 ●…社会的弱者を切り捨てることは深刻

 当然、一理あるストーリーである。嶽南亭氏が決勝の講評で、実際に道州制を議論する社会的な場でも、否定側のスタンスが持ち出されて議論されているのだ、と紹介されている通りである。

 この真っ当な議論を崩すには、どうすればいいのか?

 ここで、僕が大会中に入手した全日本ディベート連盟監修・久保健治+関真一郎+天白達也著『ディベートワークブック~練習問題で学ぶ・はじめてのディベート』に、きちんと答えが書いてある

p.82より引用開始
「反駁のコツ
 (中略)
 ようするに、反駁の際には常に、3要素(否定側なので発生過程、深刻性、固有性)の中で、どこの証明や説明が不足しているのか、つまり弱いのかを意識して反論すればいいのです。」
引用終了

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 …でも、そう簡単に弱いところを見つけられるものでもない(^^;
  そこで更に、相手のデメリットを深く理解する作業をした。

 ここでまず、デメリットが最大でとても深刻だと言える状況とはどのような状況なのかを考える。

 -国が道州に分けられると…
デ|
 |→幾つかの州が財政的に弱くなる(←財政が豊かな州はDに至らず)
メ|
 |
リ|→企業誘致のため、税を下げるなどで歳入が減る
 |
ッ|
 |→結果として赤字となる(←企業誘致に成功した州はDに至らず?)
ト|
 |
が|→行政がサービスを低下させるという判断を下す(←増税などの別な道もある!)
 |
最|→そのサービスは住民に直結するサービスだ!(←別なサービスを切ればDは小)
 |
大|
 -→とっても深刻!

 つまり、まずは相手のデメリットが仮にその通りであればとても深刻だということを認めて、一旦自分の中で受け入れて、そうなる理由(根拠付け)を確認し、「とっても深刻」に至る条件を一つずつ否定することによって、段階的にデメリットを削ることが可能であることを確認した上で戦略を考えるのだ。なお、このように段階的に否定することによって“必ずしも深刻な状態にならない”という反駁(第一反駁及び第二反駁)をすると、聞いている側のジャッジにも分かりやすいし、少なくともは「否定側の言う通りの酷い状態になる“とは限らない”」と思ってもらえるだけでも、有利に試合を展開できる。

 更に『●○』を使うなら、もっと決定的にデメリットを削る戦略を考えることが可能だ。
 レジメにある「反駁の方法の1番め」=「○は、実は元々●だった」というもの。
 それは、

●…国もいずれサービスの維持ができない状態となる。

●…「道州制での社会的弱者の切り捨て」で言う深刻性は“差分のみ”

… … …

 結論として、提案した“戦略”は下記のようなもの。

  • 現状を維持しても国のサービスは低下する。なぜなら、国は現状でも赤字で、財政のバランスを保つには消費税を20%にアップする必要があるくらいだからだ。
  • 発生過程の試算が、肯定側のプランに合致するとは限らず、赤字からのサービスの低下が起こるか否かは不明
  • むしろプラン(法人税を国に)で、財政的な格差は縮めることができる
  • 更に道州制で、コスト削減が可能なので、赤字は埋められる。
  • 仮に赤字になった場合に行われるサービスカットは、まずは住民等への影響の小さいものから。(=サービスのスリム化)
  • それでも赤字が大きい場合に、住民に密接するサービスを停止することを行政側は判断するのだろうか?
    それ以前に増税も検討されるだろう。
  • どちらかを自己責任で選べば良い。むしろ選べることが重要。実情に見合った行政が可能。
    その際、赤字が埋められた後で検討されたサービス低下及び増税なので、その負担が大きいとは考えにくい。
  • 結果的に生じるものの、自発的に選んで発生したデメリットは深刻ではない。
  • 結論:現状維持よりプラン後の方が良い

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 この提案をした段階で、F津君は、「つまり2反では~~~~とスピーチすればいいのですね?」と、得意の“F津節”で2反の原案を語ってくれる

 それに対してF木君が「F津君はすごいよな。よくそんな言葉がポンポン出てくるよね」と感心する。読書家で雑学に詳しいF津君のすごいところは、語彙(ボキャブラリー)が豊富なところだ。

 僕はそれ以上に、このワンシーンに感動した。

  1. F津君は“2反の原案”という形で、こまめにスピーチ練習をしている形式になっている。
  2. それをチーム全体が聞くので、チーム戦略に対して共通認識を持つことができる。
  3. 「F津君がああ言ってくれるはずだから」ということで、1反も質疑も立論も、同じ戦略に基づいたそれぞれのスピーチをすることができる

 素晴らしい。来年はこれを活かす!

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 なおこの段階で、私の戦略の提案・指導が、誤りであったことに気付いている人も多いだろう。創価高校の否定側立論には「道州が赤字になる」という要素がないのだ。
 …いや、本当は証拠資料で「税率を低く設定すると歳入が減る」とあるので、暗に税収不足が関係あるはずだと僕は思っている。
 でも、創価高校の否定側に「道州の赤字」がないことは、試合時の質疑応答で立論者が頑張って主張していたことだ。

 この指導ミスを、会津高校のメンバーは挽回してくれたのである。
 僕はそれに感謝しているし、だからこそ、誰よりも更に感動しているのである。

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