〔5〕成功!本質に達したディベート実践
連載して報告してきた宮城野高校の総合学習をサポートした実践ですが、私の想像を越える実践結果に、堂々と『成功』宣言させて頂き、今回で連載を閉じます。
#『成功!』と、少しオーバーなくらいな方が、これからディベートの実践をして下さる
#教育関係の方々に読んでもらえるかな、と(^^;
まずは、担当の先生からのメールを引用します。
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今週で、6クラス中、4クラスですべての試合が終わりました。
月曜日には、私のクラスで研究授業をしました。
校長先生、教頭先生2人、教務部長さん、他のクラスの担任の先生一人が授業参観にきてくれました。授業と重なっていて、いけなくて残念だという先生が2~3人ほどいました。
最後のディベートの試合 「学校完全週5日制を廃止すべきである」を行いました。
私のクラスでは、一番良かった試合だと思いました。だんだん、回を増すごとに、やはり上手になっていきました。担任、副担任の先生方からは、「ディベートはとてもよかった」という感想をいただいております。
名越先生の力添えのおかげです。私もとっても勉強になりましたし、また違う学年でもやってみたいと思っています。本当にありがとうございました。
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いやいや、実際に授業を担当された先生方の力が大きいと思っております。
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担当の先生にお会いして打ち合わせをしたのは、2回しかないのです(^^;
確かに何度かメールによるアドバイスをしましたが、わずか2回で、いったいどういった実践にまで至ったのかを確認するために、先日、再び宮城野高校へ出かけて、話を伺ってきました。
そこで、生徒たちが書いた感想から、“予想以上に成功している”ことを確認できたのです。
先生がまとめられた、生徒たちの感想から一部引用します。
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◆ディベートに関して、ディベートから学んだこと
- 様々な視点から物事を考え、それを人に伝えるために文章にし、理解してもらえるように話すことが大切であること。日常生活でも、必要なことだと感じた。
- 話し方や表現によって、相手への伝わり方が変わってくるので、そういう点でも工夫が必要だと感じた。
- ディベートで一番大切なのは、「メンバーとの協力」だとわかった。
- 一番大事なのは「準備を万全にすること」だと感じた。
- 「相手の話を聞くこと」がディベートでは大切だとわかった。
- 「メモをとる力」が必要なのだと初めて気づいた。メモをとる速さがついたと思う。
- 同じ論題でも、自分と違う視点から意見が出されるので、それを聞いていることが、大いに役立った。
◆工夫・努力したこと
- 「こっちの方が、説得力がある」などとたくさん意見を出し合えたのが良かった。
- ほとんどすべてのパートを全員で意見を出し合い、考えた。(立論・質疑・反駁)少なからず、本番でプラス要因になった。
- 他のグループの試合で、考えたこと、感じたことをできるだけたくさん書き取ったこと。それによって、自分達のグループの反省点、改善点により多く気づくことができた。
- 筋道を立てて話すこと、証拠資料をたくさん集めることに力を注いだ。
◆授業の感想
- 小学校で何度かディベートをしましたが、本格的にやったのはこれが初めてです。
最初は、「なぜディベートをやるのだろう?」と思っていたけれど、「相手とうまく話すこと」「文章で自分の意志を伝えること」の練習になっていたと思いました。 - 日常、みんなの前で話すことはあまりないので緊張したが、とても良い経験になった。
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いかがですか?
生徒たちは小学校の時などにディベートに取り組んだことがあるそうなのですが、その時には「弁が立つ人が勝つ」「議論に勝ち負けを付けることに悪いイメージがある」など、ディベートへの印象は悪かったそうです。
ですが実際には、授業におけるディベートが勝ち負けに終始するものではなく、今回の実践から生徒たちが、ディベートに取り組む本質的な目標に到達していることが感じられるのではないかと思います。
緊張と責任がある中での、ジャッジを説得する「説得力」、そのための「チーム内の協力」、良い議論をするために、相手の話を「メモをとって」聴く、複眼的な思考で論理的に考える、そして、他者の意見を取り入れて自らを成長させる…
・・・まさに教育的な教室ディベートです!
これはやはり、ディベートの教育的な意義と、それを授業で扱う意図を、担当の先生が汲み取って下さり、それを生徒たちに、何度もきちんと伝えた上で授業をして下さったことにポイントがあるという気がしています。
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そして私にすると「他校の実践を手助けし、成功させるという事例」になります。
これを応用すれば、また更に、別な学校の実践をも手助けできるのではないかと思っております。今年の目標『ディベートの普及に寄与する』が、一つ具現化したものとなりました。
それを話した際に、宮城野高校の先生がこう答えてくれて、私も心の底から嬉しかったのです。
「私でも出来たのですから、ほかの学校の先生もできると思います。ディベートという“宝”に出会えて良かったと思っています。」
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